今このタイミングで張栩

勝利は10%から積み上げる

勝利は10%から積み上げる

東京旅行の往復にて、koboで読了。
囲碁界は井山裕太の六冠に湧き、張栩棋聖の憮然とした表情が印象的だったニュースだったのだが、このタイミングで、その張栩が五冠を達成したときの本を読むと、いろいろ重なるものがあり面白かった。しかし、張栩が史上初の五冠と言って世間が騒いだのは2009年だからつい4年前ですよ、井山くんは恐ろしい。もう井山くんなんて言っちゃいけないのだろうけど、小学生の頃の井山少年を知っている身としては、福原愛がいつまでも愛ちゃんなのと同じ気持ちになる。

本の内容としては、張栩がいかに努力しているか、極限まで自分を研ぎ澄ませているか、という話と、日本の囲碁界は今後どうしていくべきか、という話と2つ。前者が特に面白い。ああ、ここまではぼくはできていなかったな、と思うし、でも今の研究に対してもこれぐらいの気迫で挑まないとな、と身につまされる。

でも、こんなに頑張っている張栩が勝てない井山裕太がすごい*1。どういうことなのだろうか。もうプロの碁を長らくきちんと観ていないので戦術的なことはわからないのだが。

何となく、張栩が将棋の谷川浩司にかぶるのは僕だけだろうか。張栩世代が羽生世代のように層が厚いという点は少し異なるが、張栩vs井山というカードには、谷川vs羽生というカードが重なる。もしかすると、これもいずれ羽生vs渡辺ということになるのかもしれないが。

まあそれはともかく、囲碁を知らなくても面白く読める本です。知ってるともっと面白いです。

*1:しかし、対戦成績的には近年は井山有利というぐらいでかなり互角のよう