40歳からの?知的生産術

40歳からの知的生産術 (ちくま新書)

40歳からの知的生産術 (ちくま新書)

この本、ギャンブル学でおなじみの谷岡一郎さん*1の本なのだが、タイトルとは裏腹に、20歳ぐらいの人が読んだほうがためになると思う。

個人的に谷岡さんの語り口が好きなので、どうしても評価があがりがちになってしまうのだが、50半ばの谷岡さんがいかにインターネットや携帯電話やらと距離をおきつつ、自分の時間を確保しているのかというのはとても面白かった。

なるほどと思ったところを2つ紹介しておく。
1つは、どうして人間はメールや電話ではなく直接会うのが大事なのか、という点。これは、「直接会って話すときのほうが、同じ時間で得られる情報量が多い」からだと谷岡さんは言う。これにはなるほどと思った。この問題についてはぼくも「ネットさえあれば仕事できるような職業はたくさんあるのに、どうして普及しないのか」というポイントからいろいろ考えていたのだが、情報量の問題に還元するとしっくりくるし、会って話すことの重要性もわかる。

もうひとつは少なくとも「時間」と「空間」を考えないと議論というのはできないという話。つまり、ある提案が妥当かどうか判定するには、例えば「短期的にはデメリットが多いが、長期的にはメリットが多い」とか「日本国内だけではダメだが世界レベルで見れば有効」とか、そういう前提条件があるという話である。もちろんこの2つ以外にもいろいろな制約はついてくるのだが、いわゆるTPOのうちTとPの話だなあと。たぶんOというのが軸の設定が一番難しいので、TとPをまずしっかりと、という話になっているような気がする。これは日常にも応用が利きそう。

あと、情報の整理法としてパソコン等々を使わない方式についていろいろ述べておられたが、この部分はエッセンスだけつまんでパソコンベースの情報管理に応用する感じかなあと個人的には思った。このあたりは、書くほうが速いのか、キーボードを叩くほうが速いのか、ということによって変わるということなのだと思う。

ともかく、タイトルとは裏腹に若い人におすすめの一冊です。

*1:大商大とか神戸芸工を経営する谷岡学園理事長