AlphaGoと新布石

AlphaGoと李さんとの対局のあと、井山七冠の誕生を経て、高校時代*1以来久々に囲碁に注目している。特に、囲碁のまち平塚の隣町に住んでいるということもあり、木谷実呉清源の新布石とか、木谷道場とは一体何だったのか、などに興味を持っている。

正直、囲碁の布石を実証的に評価することは難しい。ある手があったときに、それがよい手なのかそうでないのか、というのは演繹的には推論できない。ものすごく平たく言うと「すごいプロみんながよくないと言っているからよくない」という程度でしか、手の妥当性は示せていないと思う。ここには、コンピュータの計算が介在する余地がある。古くは新布石であり、武宮正樹の宇宙流、山下敬吾の5の五や初手天元など、単にコンピュータが人間よりも強くなったという以上に、この布石はよい、という手のvalidationを計算機科学が示してくれると囲碁はもっと面白くなると思う。70年の時を経て、新布石はよい、とか言ってくれるのではないかという淡い期待がある。

木谷道場と七十人の子どもたち

木谷道場と七十人の子どもたち

内弟子ってどういう感じなのかと思いこの本を読んだ。面白かった。

お悩み天国―治勲の爆笑人生相談室

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これは久々に吹いた。趙治勲はやっぱりすごいな。

名人 (新潮文庫)

名人 (新潮文庫)

たしか高校生のときに読んだ。当時はこれが本因坊と木谷の碁であるという経緯をいっさい知らずに読んだが、いまもう一度読むと泣くのではないかと思う。碁を並べてもう一度泣くかもしれない。

現役で囲碁をやっていたときは布石が苦手で、将棋みたいにすっきり組み立てれたらええなー、などと思っていたのだが、30も過ぎて、現実社会の問題は布石よりもっと難しいけれどもみんな頑張っていることに気づき、これぐらいでへこたれたらあかんと思っている。

*1:いちおう囲碁将棋部で全国大会に出た。団体戦の3将ですが