出身地をどう名乗るべきかよくわからない

先日パスポート取得のために戸籍謄本を請求した話は書いたが、それがきのう届いた。自分の戸籍謄本を見るのはかなり久々な気がする。娘が登録されているのを見てなんか嬉しくなった。

ところで戸籍には「出生地」という項目があって、これは本当に生まれた場所、つまりはだいたいの人は病院の所在地になっている。ぼくの場合は「大阪府松原市」なのだが、ぼくは松原市阪南中央病院で生まれたそうだ。

でも、当時住んでいたのは隣の大阪府柏原市で、気持ち的には「大阪府柏原市生まれ」と言いたい。さらに、4歳のときには両親が奈良にマイホームを買って奈良に引っ越したので、「出身地」というレベルでは奈良県、あるいは奈良県北葛城郡広陵町と言いたい。

ここにはいくつかの問題があって、整理すると

  • 「・・・生まれ」と言うときは戸籍に記された「出生地」を名乗る
  • 「・・・生まれ」と言うときは最初に住民票があった場所を名乗る

という2つの立場があって、かつ、

  • 「・・・出身」と言うときは、生まれた場所を名乗る
  • 「・・・出身」と言うときは、生まれた場所に限らず自分がここで育ったと思える場所を名乗る

ということなのだろう。ぼくの場合はまだ簡単だが、親の仕事の事情で転勤を繰り返した人だったりすると、もっと事情は複雑だと思う。

さらには「イエ」の問題もある。普段は簡単なので奈良県出身と言ってるぼくも、別に先祖代々奈良ではなくて、父は大阪市の生まれだがもともと木下家は兵庫県小野市の家、母方はみんな長崎県民なので、奈良には本質的には?特に縁もゆかりもない。それでもまあ高校卒業まで14年過ごしたし、大学時代は東京都内の奈良県飛び地としか思えない奈良県人寮で濃い奈良県生活*1を送ったので、奈良県出身と名乗ってはいるけれども、戸籍上は奈良県奈良市生まれと書かれているうちの娘がどれだけ奈良にアイデンティティを感じてくれるかは未知数である。

それでも、きのう会った某日本人青年は、ドイツ生まれで3か月ほど滞在しただけなのに、それを縁に感じていまはドイツのことを研究しているらしい。自分の直接的な記憶に限らず、あとから再構成される記憶や情報によっても人間は生きていくのだなあと、あんまりまとまってないけど思った次第です。

*1:例えば寮内のソフトボール大会では最後に北部vs南部が恒例だった。この奈良県北部南部問題も別の機会に述べたい