マニフェスト選挙に対する一抹の不安

以前もマニフェストについてブログに書いていたのだが、きのう改めて思ったことをメモ程度に。twitterでもつぶやいたけど。

マニフェストを見て投票しましょう、というのは、「電化製品を選ぶときはちゃんとスペックを見て比較して買いましょう」という意見に似ていると思う。要するに、「あるもの」を選ぶときに「あるものが共通に持つ属性」を列挙し、それらを相互に比較して、最終的な判断をする、ということだと思う。これ自体は別に悪いことではない。

ただ、マニフェスト選挙をしたからといって、結果的にどぶ板選挙よりも良い結果になる、とは限らない。これは、ちゃんとスペックを見て比較して洗濯機を買ったときと、ただCMを見てとか、カカクコムで1位だから買ったときと、どちらがいい洗濯機だったかはわからない、というのと同じである。

そして、スペックを比較するのは疲れる。カカクコムで1位のやつを買うよりは相当疲れる。選挙も同じで、候補者の意見をいろいろ比較したり、人間としてどうか、という部分までいろいろ比較しはじめたりすると、本当に疲れるし、結論を出すというのは難しい。これは、スペックを比較する洗濯機選びでも同じである。本当に納得のいく結論を出すまえに、だいたいでこれでいこか、みたいなことになることが多いと思う。

つまり、言い方は悪いが、マニフェストで候補者を選べというのは
お前らもっと時間を割いてちゃんと比較検討しろ(=疲れろ)
と言っているに等しい。ここで、このほうが明らかにメリットがあるのであれば、この論も成り立つと思うのだが、果たしてどうなのだろうか・・・

まあ、ここまでいろいろ悩む人も少数派である、ということを見越して、喧伝的にこういうことを言ったほうが多少は浸透するぜよ、というのもアリっちゃアリかもしれない。ただ、本質的に正しいことを主張するというのが原則的には筋だと思うので、なんだかなあと思う。

ぼく個人としてもマニフェストで選ぶというのは嫌いではないのだが、そういうことを言う人が「その方が疲れる」という問題に対して真面目に回答しているのを見たことがないので*1、気にしている次第。また気が向いたら続く。

*1:不真面目に回答している人さえ見たことがない、つまりそういう問題提起がないのか、ぼくがよく知らないだけか。