傍聴・第3回奈良県営競輪あり方検討委員会

http://www.pref.nara.jp/item/97107.htm#moduleid17510
本日行われた「第3回奈良県営競輪あり方検討委員会」を傍聴してきた。そもそも委員会の傍聴というものが初めてだったので、右も左もわからない状態ではあったのだが、多くは県議会の議員さんが傍聴されていたのだと思う。ただの一競輪ファンの参加は珍しいのだろう。

前回までは廃止後どうするかといった話も出ていたのだが、2月に行われたG3春日賞(年間売上の約6割を占める)が当初目標よりも3億ほど上積みで売れたので、存続もあるのか?といったあたりが焦点だった。

結果、全体が意外なほど「存続ありき」の論調になっており、驚いた*1。以下詳細。


会議としては、まず配付資料の説明および質疑が30分ほどあり、その後、さらに事務局が配付していた「存廃の方向性(事務局素案)」という資料について議論。いちおう13時から15時までの予定だったが、14時10分頃には終わった。

どこまで何を公開していいのかよくわからないので、以下メモ程度に。

  • 今年度は昨年に続き1000万程度の単年度黒字達成も、累積赤字はまだ1億以上残っている
  • ただし、以下の2施策を中心とした方策で、H28年度までの赤字解消が可能とシミュレーションした
    1. H26-28の3年間、競輪業務の包括外部委託(5500万/年+県の人件費削減約4000万/年)
    2. 払戻率*2を75%から70%に引き下げ
      • とりあえずシステム改修(払戻率変更対応)だけはH25年度にすることが決定した模様。*3
      • 逆に、75%のままでは包括委託してもダメ、というシミュレーションになっていた
      • 春日賞の売り上げは毎年5%減少、F1F2は10%減少というシミュレーションだった
  • スタンド改修工事の見積もりは、本スタンドだけなら4600万(西と東のスタンドも含めると9300万)
    • どうも、そんなに急ぐ工事ではないらしい。累積赤字解消後に実施というシミュレーションが提示されていた
  • 以上の2つを実施したうえで、委員会を定期的に開催しつつ、平成27年度末に改めて廃止するかどうか検討、という方向の素案がおおむね承認された
  • 次回は5月。委員会として中間報告を出すとのこと

委員の方も県の方も、まだ改善努力は尽くされていないので、とにかく3年頑張ってみて、みたいな方針になっていた。まあ、何かを決定する権力を持つ委員会ではないようなので、そんなものなのだろうか。

以下は私の雑多な感想。

  • 何となく68億より3億プラスなら累積赤字解消なのかと思っていたが、3億まるまる収益になるわけではない(75%は配当やし)ので、そんな甘くなかった。というか、これでも前年より売り上げ減で、68億程度なら完全に終わっていた、ということなのだと思う
  • 資料に書いてあった「今回春日賞の売り上げが良かった理由」の1つに「村上や武田という一流選手の出場」というのがあったのだが、これはどれぐらい影響してるのだろう。売れる番組、売れる選手というのを調べてみるのは面白そう。
  • 委員の方から「どれぐらいの可能性で払戻率は75%から70%になるのか?」という質問が出ていたが、県の職員さんからの明確な回答はなし。答弁を聞いていた私の感覚としては、かなり厳しそうな印象。ネットで見聞きしているように、東の競輪場は反対が多いという話もあった。オートレースの事例*4も出ていた。
  • ただ、いままでそういう気持ちはなかったのだが、売り上げ向上よりも払戻率変更をがんばりたくなる気持ちはわかった。払戻率5%変更は、たとえば売上が100億なら単純に黒字が5億増える。売上にすると20億以上増えるのと同じこと。もちろん、実際は売り上げ減少があるのでそう簡単ではないが・・・
    • そういう意味では払戻率70%にしたときのシミュレーションに、それに伴う売り上げ減少は加味されていなかったと思われる。誰も突っ込まなかったが、それを加味したシミュレーションじゃないと意味がないのでは。
  • 誰も明言していないが、払戻率を70%にできなかったら廃止、ということになるのだと思う。そして、70%にできなくて廃止になると予想している
  • やはり普段のF1F2開催が、やればやるほど赤字になるという構造が苦しい。そこを何とかできた競輪場だけが今後残るのだと思う。稼働率下げたら儲かるっておかしいでしょう。
  • 個人的には奈良競輪が存続していたほうが嬉しい点もあるが、ほとんどネットで買う身としては、どうしてもないと困るということはない。むしろ競輪という競技が健全に継続することが一番大事。
  • 実際にこうして委員会などに出てみないと見えないことはあるな、と思った。

今後はまた委員会や議会で議員さんから質問が出るのだと思う。引き続き動向に注目したい。

2013.04.04 考えを追記しました。

*1:前回出ていたわけじゃないので正確なことは言えないが

*2:控除率と書くこともあるが、控除率25%なら払戻率75%ということ。控除30なら払戻70。2つは逆の概念。ややこしいが、今競輪界がやろうとしているのは控除率引き上げ=払戻率引き下げ

*3:それにシステム改修が必要というのも何となく変な話だと思うんだが・・・。パラメータ外出しになってないのか

*4:払戻率を75%から70%にしたら売上約2割減