もしかしたらもしかするかも

サンボマスターの「恋する季節」という曲があって、これがいい。調べてみると、NHKの「大!天才てれびくん」のテーマソングらしい。ぼくはサンボマスターが歌っているのをテレビか何かで見て知ったのだが、早くセルフカバー出ないかな・・・

ここに歌詞があるのだが、2番の

ワクワクワク 恋する季節が突然やってきて
ドクドクドク 孤独で退屈な僕の心を乗っ取った
生きてやる未来も過去も もしかしたらもしかするかも 恋する季節!

この「もしかしたらもしかするかも」という詞を書いた山口隆はすごい。このフレーズだけで、恋のすべてを物語っているような気がしてしまうし、自分のあったようななかったようなそんな時代のことを思い出して、何年ぶりかにサンボマスターのアルバムを聴いてしまったりする。

そんな「もしかしたらもしかするかも」というシーンを最近見た。某近鉄奈良線の夕方、大阪から奈良への帰り道だったと思う。テニスの試合か何かの帰りの高校生3人が、大きなラケットバッグをかついで乗り込んで来た。電車は空いていて、シートの真ん中に3人並んで座る。榮倉奈々に似た雰囲気の*1女の子がひとりだけいて、その子の隣に短髪の男2人。3人で何か話していたのだが、端にいた方の男の子は途中の駅で降り、2人に。試合で疲れていたのだろう、女の子はしばらくするうちにウトウトしてしまう。そんな様子を、ぼくは窓際に立って本を読みながらチラ見している。

女の子はすっかり眠ってしまい、男の子の肩にもたれかかる。ぼくは本越しに様子を見る。10秒、20秒、30秒が経過。

一瞬、ぼくは男の子と目があった。ほんの一瞬だった。彼はすぐ目を逸らしてはずかしそうに下を向いた。しかし、その0.5秒ぐらいの時間でぼくは彼の「もしかしたらもしかするかも」度が生駒トンネルをぶち抜くぐらいMAXに達していることを察知した。

しかしその永遠は「まもなく○○ー」という残酷な車掌のテーゼにより分断された。女の子ははっと目を覚まし、何事もなかったかのように体勢を立て直し、次の駅で「じゃあね」といって降りた。

「もしかしたらもしかするかも」というのは、そんな気持ちである。

*1:あくまで雰囲気やで!