競輪版・読みの技法

読みの技法 (最強将棋塾)

読みの技法 (最強将棋塾)

その昔、「読みの技法」という画期的な将棋の本があった。それまでの将棋本というのは、基本的には戦法の解説やら手筋の解説やらで、5W1Hで言うならばHowやWhatといった視点からの著作しかなかった。

しかし、この本は「Why」に主軸を置いたものだった。この局面ならプロはどう考えるか、どのような手をどの程度読むのかということについて、羽生・佐藤・森内といった当時のトッププロ、いや現在もトップに座り続けている超一流のプロたちが、何ページにもわたって持論を展開した。いま思えば、将棋界はこの頃から「第2次将棋ブーム」とでも言えるような、現在に続くWebやコンピュータの進化にあわせた展開を見せてきたのではないかと思う。

これは仮説でしかないが、ありとあらゆる娯楽競技は、このような進化を見せないと21世紀では苦しいと考えている。「Web2.0」からXXX2.0とかXXX3.0といった単語がもてはやされているが、将棋もある意味将棋2.0であり、将棋3.0なのだろう。

さて、競輪はどうか。競輪における2.0とは何か。その1つに「読みの技法」というものがありうるのではないかと最近考えた。これは実際に自転車に乗っている人の話ではないが、競輪予想を生業とする者が、どのような読みからその予想をしているのか、それを精緻に展開する。これでもかという細かい予想を連ねる。そんな予想誌がひとつぐらいあってもいいと思う。「推理のおもしろさ」というのが公営ギャンブルの一つの魅力である。一ファンとして、それをどれぐらい多くの人に広めることができるか、今後試していきたい。体力の続く限り。